初の カート・ヴォネガット・ジュニア 作品。 SFをかじったものとしては「タイタンの妖女」や「スローターハウス5」は本屋でみかけていて、いつかは読みたいと思っていた。
去年、id:shimobayashi さんが読んでいるのを見て、読み始めてしばらく途中で止まっていたのを一気に読み終えた。最近こういうの多い。
買ったときには作者の名前をみていなくて、タイトルの「猫のゆりかご」に惹かれて買ったのだけれど、読み終えてみて作者を見るとなんと カート・ヴォネガット だった。
物語のはじまりはジャーナリストの主人公が原爆を作った博士個人を掘り下げた「地球最後の日」という本を書くために取材を始めるところから始まる。そのうち物語は架空の国家がある島に移り、最後は SF 的展開で終わる。前編に渡って現実に対する皮肉に満ちていて、歪んだ感じがした。
作中で重要な役割を果たす、架空の宗教 ボコノン教 もまた興味深い。
訳者あとがきで作者は SF 作家だといわれるのが嫌だと言っていた旨のことが書かれていたが、どう考えても良質な SF を書いていると思う。