- 作者:Robert C.Martin
- 発売日: 2020/10/03
- メディア: 単行本
アジャイルソフトウェア開発宣言 から20年、独り歩きしている「アジャイル」の原点に立ち戻って「アジャイル」とはをアンクルボブが教えてくれる。久しぶりに紙の本を買ったんだけれどなんとKindle版がもう出ている。
スノーバードに至る話からアジャイルソフトウェア開発宣言が合意される流れは学生のころに初めてアジャイルに触れたときに感じた熱量を思い出して感極まってしまった。あの当時Rubyコミュニティにいなくて、角谷さんのTDDのデモを見てなかったり、コミュニティの先輩たちとの読書会で「アジャイルソフトウェア開発の奥義」などを読んだりしていなかったら、今の自分は絶対にいなかった。当時のことを思い出して懐かしい気持ちと、いつのまにか失ってしまっていた情熱みたいなものを思い出せた気がした。まだそんなに年はとっていないのだけれど。
内容は多くのページはXPのプラクティスの解説に割かれていたり、「アジャイル」を俯瞰するというよりかはアンクルボブの主張が強めの内容で、スクラム一辺倒だった自分の考えをいったんリセットしてくれる力強さがあった。もっとも「アジャイル」なのがXPと言われてハッとした。
ビジネスやプロジェクト、チーム運用などをうまくやるためのマネージャがうまくやるツールとしての側面だけが独り歩きしていて、テクニカルな面が忘れられがちだけれど、そのせいで失敗しているというのが耳が痛かった。開発プロセスに気を取られすぎていた。もっと広い分野に適用出来ると思っていたので、ソフトウェア開発のための手法と言い切られていて、たしかにそうなのだったらテクニカルなところがもっとも重要なのは納得感があった。
さらに最近は中規模なチームにどうやって適用していくのかと考えていたので、アジャイルは小さなチームが小さなことするときにうまくうやる方法であって、大規模アジャイルなんかないというのが衝撃だった。小さな組織をまとめる手法は戦争などによって確立されているということだったけれど、答えは書いていなかったのでちょっと調べてみたい。おすすめ書籍あったら知りたいです。
抱えていた違和感やもやもやも解消されたのもよかった。最近は「正しく」やることが求められているように感じていて、どうやれば「正しく」なるのかと思っていたが、正解が分かっているならウォーターフォールでよくて、それが分からないほどの複雑さに対応していくためにアジャイルなんだということが書かれている。
「正しくやる」などと言わないでほしい。問題が発生したら対応するだけだ。
また、認定系についてもずっと違和感のあったところだったので腑に落ちた。取得するためのトレーニングは有益なんだけれど認定なんちゃらというのが目的になっているのはおかしい。ずっと引っかかっていたところが言語化されていてすっきりした。
そういえばアジャイルが名詞として使われていたけど、形容詞だと躾けられてきたので混乱してしまった。
インタビューもめちゃくちゃいいので観てください。
An interview with Uncle Bob on "Clean Agile" - Celebration to the Japa – アジャイル動画