- 作者: ロバート・J.ソウヤー,Robert J. Sawyer,内田昌之
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1997/05
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 33回
- この商品を含むブログ (66件) を見る
初 ロバート・J・ソウヤー 作品。id:onishi さんからおすすめしてもらって読んだ。
学生のころに実習で立ち会った脳死患者の臓器摘出オペで、患者がうめき声をあげたことがずっと気にかかったまま成長した主人公は、脳波を測定する装置を作り上げて死の瞬間を記録することに成功する。そこには「魂波」だと思われるものが写っていた。
世界中を大論争に巻き込む発見をした主人公は、死後の世界とはどういうものなのか、そして不死とはどういうものなのかを知るためにある実験をする。それは自分自身の脳をスキャンし、それぞれの条件に合わせて設定をした3つのシミュレーションを作るというものだった。
しかし、シムのなかの1つが殺人を犯してしまい…、という話。
SFだと思って読み始めたら、不倫の話だったり、殺人が起きたりと、ジャンルにとらわれない展開をみせる。しかも、めちゃくちゃ読みやすい。SF は読みにくいのが多いのだけれど、これはすらすら読めてしまった。あとがきにもあったけれど、森博嗣を読んでいるような感覚。いや、それよりも読みやすいかもしれない。
文章も読みやすいのだけれど、登場人物がみんなふつうの人なので感情移入しやすい。主人公はずっと妻の不倫で悩んでたし、彼の友達もふつうのおっさんという感じだった。(ただし、二人とも恐ろしく頭がいいのでそれはそれ。) ついつい「おいおい、それはないだろ。」ってつっこんでしまうが、話が破綻している訳じゃなくて、そう描かれているのだからすごい。
オチにはあまりスッキリしなかったのだけれど、最後までぐいぐい引きこまれて読んでしまうような魅力があった。とても読みやすいので SF ふだん読まない人にもおすすめです。
「ネットの海は広大だわ…。」