あの アジャイルサムライ のジョナサン・ラスマセンの新作。角谷さんの翻訳で間違いないのが出ました。
社のブログ向けに今のチームとの対比を絡めて書こうともがいてますが、ひとまず感情だけを先に書き殴ります。
(こうやって読者の反応を見ずにブログマーケットフィットを想像して推敲に推敲を重ねているのがまさにエンタープライズ人間っぽいのでこっちは一切推敲していない)
この本はいまや音楽ストリーミングのデファクトとなったSpotifyがすさまじい勢いで成長していたころの著者の体験を元に書かれている。
インターネットには少し批判的なようすが出てきていたスクワッドやトライブなどの実際の様子や、全体の方向を統一しつつも速度を出すためにやってきたこと、そのための文化の話などが書かれている。
残炎ながら、これを読んで明日から真似しようと思って手に取って人には向いていません。
方法論の本ではなくて、俺たちにはこのやり方がうまくいったという例が書かれている本で、ちりばめられたヒントから自分達はどうなんだろうと考えるための本だと思います。
エンタープライズ企業でも当たり前にアジャイルな開発をするようになって久しくであったりとか、ユニコーン企業はスクラムなんてやっていないなどと強い言葉も書かれているが、方法論の本だと思って真に受けてスクラム止めますなんていうことは推奨されてないので注意が必要。
目につくのは「自立、信頼、権限」という言葉だけれど、僕はこの本はモチベーションの本だと思って読みました。
強いプレッシャーと不確実性の中で素早くプロダクトマーケットフィットを見いだすには、短いイテレーションで改善を続けるアジャイルな開発は前提条件であって、その速度と品質をさらに上げるのがモチベーションだと。
内発的なモチベーションをもってプロダクト開発に関わるチームは自立して前に進めるし、そんなチームを上層部は信頼して、権限を譲渡出来る。そうするとチームのモチベーションはより上がっていく。
本ではまずは信頼して権限を与える。と書いてあるけど鶏卵になっていて我々開発チームとしてはまずは内発的なモチベーションを得るところから始めるのが良いのではないかと思います。
そのために方法として、やはり「目的」というのが重要で、本ではカンパニーベッドというものを使って1つの目的にフォーカスする方法が書かれている。
会社やプロダクトの目的に心から賛同出来る場合は自然とモチベーションというのは沸いてくる。これはOSSと同じでプロダクトを作ることに関わること自体が目的に出来ている。
つまり自分からそのプロダクトを作りたくなるのだ。そりゃあアウトカムも出てくる。
アウトカムが出てきたらフィードバックを得られるので、さらに改善していける。次のカンパニーベッドをよりうまく決められるのだ。
プロダクトがよくなってくると次の段階が訪れる。
プロダクトを作っている自分達の環境をもっとよくしたいというモチベーションにつながる。
これが生産性の話につながってきて、さらに開発速度は上がっていく。
(これは逆のループもあって開発速度を上げるとフィードバックが早くなってチームの信頼も獲得して権限を得て、会社はフォーカスする方向を決められるようになる。これは明日から出来る!!!会社が変わるのを待っている暇があるなら手を動かそう。)
それも楽しくてやっているのだ!!!
こういった一連の流れを文化として定着させることで組織として強くなっていく。
ハードだけれど楽しい職場で、そして結果もついてくるような環境は最高だと思いませんか。
そこを目指すためにどうやったらいいのか考えるきっかけとしてこの本はとてもいい石を僕の中に投げ込んでくれたと思います。
こうやって本を読むことで内発的なモチベーションを得られるのだけれど、これは正直すぐに消える。
モチベーションが消えないようにどうすればいいのか。「近道はない。やるしかないんだ。」の精神で何かをやってみるしかないのだ。