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ちなみに

火曜日の空は僕を押しつぶした。

「となりのロボット」を読んだ話

となりのロボット

となりのロボット

僕は百合にはあまり興味がない。しかし、この漫画は紹介せざるを得ない。

「わたしはロボットです。今は、だいたい人と同じことができます」

毎回、そんな台詞から始まる、ロボットである「プラハ」と、研究所の裏に住む「チカちゃん」の恋のお話。

プラハ」は出来るだけ人と同じように行動できるように作られていて、実験のために学校に通うこともある。その中で人間らしさを習得することを目的としている。なぜそのような実験をしているのかは作中で語られているのだけれど、なるほどなあという感じで説得力がある。そう、この物語には説得力がある。だいたいこういう系統の漫画は SF としてはお粗末でがっかりすることも多い。しかしながら「となりのロボット」は全体を通してとても説得力があり、(にわか) SF 好きとしても非常に満足できる。というか普通にエンジニアとしてロボットに関わりたいと将来のプランを見直しかねないくらい良かった。

「チカちゃん」が「プラハ」と出会ったのは4才のころで、それからずっと幼なじみとして成長します。その時の「プラハ」の実験での名前から「チカちゃん」は「プラハ」のことを「ヒロちゃん」と呼んでいます。この呼び方をするのは「チカちゃん」だけ。呼び方については後に出てくる「プラハ」を作った元研究室長のエピソードでも出てきて目頭が熱くなります。

さて、「プラハ」はずっと高校生のままで、ついに「チカちゃん」も17才になって同じ高校生になります。成長する過程で「チカちゃん」は「ヒロちゃん」の事が好きなんだということに気付いていて、人間じゃないものへのその気持ち、そして「ヒロちゃん」の "好き" は自分の好きとは違うということも知っていて、それでもどうすることも出来ないと悩みます。でも実は「ヒロちゃん」=「プラハ」の中でも「チカちゃん」は特別なものになっていました。ロジカルに "恋愛" を定義しようとする「プラハ」と女子高生らしい視野の狭さで "好き" を貫こうとする二人の掛け合いが微笑ましい。

二人の周りの人たちも一癖も二癖もあり、そして愛おしいキャラクターになっていて、全編を通して優しい気持ちになれる作品。そして、「プラハ」を通じて人間らしさとは何か、自分が出来ることは何か、成長するとは何か、未来に何が残せるのか、なんかそんなことなどを考えてしまう。

人におすすめしたい良作。